毎日新聞社は、サブスクリプションサービスのプラットフォームとしてZuoraを選定しました。これにより、新たなプライシング、パッケージングの展開が容易になり、短期間で新しいサブスクリプションサービスの提供を開始することができました。Zuoraを採用した狙いや効果について、毎日新聞社にお話を伺いました。

 

【概要】

1872年に創業した日本で最も歴史のある新聞社。日刊新聞や雑誌、書籍などの発行のほか、デジタルメディアなど幅広い事業を展開しています。時代やニーズにあわせてコンテンツを提供し続けています。

チャレンジ】

以前の課金プラットフォームは、毎日新聞社が構築しているメディアCMSとの連携が難しく、迅速かつ柔軟に顧客ニーズに対応したサービスの展開、分析強化などサブスクリプションビジネス強化へ向けた成長戦略の実現が難しい状態でした。  

ソリューション】

Zuoraを採用したことで、自分たちが必要な形でデータを抽出できるようになり、顧客ニーズに応えるサブスクリプションサービスをよりタイムリーに提供できるようになりました。また、プログラムの知識がなくても設定レベルでの作業だけで新たなサービスを市場に投入できます。

ベネフィット】

顧客ニーズにいち早く対応した新たなサービスの開発や提案のほか、顧客に寄り添ったサービスを提供できるようになりました。これにより、ビジネスのスピードも向上し、新規獲得や解約率削減など、サブスクリプションビジネスの収益向上を加速する土壌ができました。


■サブスクリプションモデル拡大へ向けて 

毎日新聞社は、さまざまな顧客ニーズに応えるため、紙媒体による日刊新聞のほか、リアルタイムに情報を提供できるデジタルコンテンツの配信も行っています。

Mainichi1.jpeg「紙の新聞は情報がまとまっていてわかりやすいという読者もいれば、スマホやパソコンで最新ニュースを知りたいのでデジタルコンテンツのほうが使いやすいという読者もいます。我々は、コンテンツを必要とされるお客様に適切な形でデリバリーできるような仕組みを作っています」(デジタルメディア局 統括チーム プロデューサー 副部長職 楢本隆治氏)


紙の新聞では代理店モデルを採用し、デジタルではサブスクリプションモデルで記事を読者にデリバリーするというように、毎日新聞社ではデジタルを含めたコンテンツの提供方法を拡大してきました。

「2015年からデジタルコンテンツを有料化し提供していますが、収益基盤となるサブスクリプションモデルのボリュームを向上させたいと考えていました。サブスクリプションの会員数もローンチ当初から着実に増えております」(デジタル担当補佐 デジタルトランスフォーメーション委員会 委員長 高添博之氏)

しかし、課題もあったといいます。読者のニーズについて知りたいと思っても、データの収集や自社のCMSと連携して分析することが出来ず、タイムリーにサービスを変更し、提供するということが難しかったのです。

「我々が求めているのは安定性や小回りの良さです。しかし、これまで使用していた課金プラットフォームではマッチしていない部分が多くありました」(デジタルメディア局 チーフエンジニア 副部長職 森雄司氏)

以前の課金プラットフォームでは、課金のカスタマイズや、データの更新が容易に出来ないため、毎日新聞社の運用に合わせるためには、膨大な時間とコストがかかってしまう課題があったのです。

 

■読者ニーズを捉まえたサービス向上への集中を実現

毎日新聞社では、システム開発を内製しているため、試行錯誤しながら蓄積してきた経験や知見があります。それを生かして、サブスクリプションビジネスを拡大するために自分たちにとって必要な要件、機能は何かを徹底的に議論を重ねたといいます。

そこで同社は、サブスクリプションを実現できるサービスを複数調査。必要な要件だけでなく、システムの安定性、可用性、グローバルでの1000社以上の導入実績などに加え、メディア業界でも多くの実績があることを考慮し、Zuoraの導入を決めました。

「Zuoraを導入することで、お客様のニーズを分析・把握し、それに合わせたサービスを開発できるようになりました。また、このサイクルを回し続けることで、改善し続けることができ、収益を継続的に上げていくことが実現できるようになりました。サポートも手厚く、“こんなことをしたいんだけど”といった質問にも丁寧に答えてもらえますし、我々の事情を考慮したアドバイスももらえます。さらにZuoraは、外部システムとの連携も容易なので、ユーザーへのサービス向上に集中できるようになりました」(楢本氏)


Mainichi2.jpgZuoraに移行後、毎日新聞社は短期間で新しいサブスクリプションサービスの提供を開始。同社が持っていた既存のシステムとサブスクリプションサービスを組み合わせることで、短時間でユーザーニーズに応えるサービスをリリースしたのです。

「タイミングも非常に大切だと思っています。タイミングを逃すと、顧客の獲得に大きな影響が出ることもありますからね。Zuoraを使うことでタイムリーにサービスを提供できるようになったのは、大きなメリットだと感じています」(高添氏)



■パーソナライズされた記事の提供など、ビジネスの拡大を視野に

Zuoraを導入したことで、毎日新聞社が持つ膨大な読者のデータを基に、より詳細な分析ができる環境も整いました。これらの情報を駆使することで、パーソナライズされた記事の提供も検討しています。


Mainichi3-1.jpg「これまでは、年齢、性別といった大きなセグメントでしか分析できませんでした。しかし、Zuoraを使うことで、より細かくデータを分析できるようになり、読者像をこれまで以上に立体的に把握できるようになりました。こういった分析をすることで、お客様ごとに必要とする情報をパーソナライズしてサービスをお届けできると考えています」(森氏)



サブスクリプションサービスでは、市場ニーズに合わせて柔軟にサービスを展開し、長期間にわたって顧客にサービスを利用し続けてもらいながら収益を拡大していく必要があります。 

毎日新聞社は、Zuoraプラットフォームの採用をきっかけに、スキルや経験などに依存せず、プライシングやパッケージング、課金基盤を強化し、今後想定しうるあらゆるビジネスニーズに対応できる体制が整いました。

ビジネスのスピードを加速し、サービスの改善を継続的に行い、より顧客に寄り添ったサービスを提供し始めています。